本体工事費と付帯工事費の違い|区分の線は会社ごとに動きます
【PR】記事内に広告リンクがあります住宅会社から見積をもらうと、金額が「本体工事費」「付帯工事費」「諸費用」といった見出しで分かれていることがあります。 2社の見積を並べて、この見出しごとに金額を比べようとして、うまくいかなかった方に向けた記事です。
先に結論から書きます。
この3区分を定義した記載は、当サイトが調べた範囲では見つかりませんでした。 建設業法の条文にも、国土交通省が公開している公共建築工事の内訳書標準書式にも、この区分の定義は見当たりません。
つまりどこまでを本体工事費に含めるかは、会社ごとの決め方です。 同じ工事が、ある会社では本体工事費に、別の会社では付帯工事費に入ります。 見出しごとの金額を2社で比べても、中身が違うものを比べていることになります。
先に1つ書いておきます。「本体工事費」という見出しが無い見積書は、実在します。 当サイトが確認した見積ソフトのサンプルがその形でした。 見出しが無いこと自体は、雑な見積という意味ではありません。
この記事で分かること
- 3区分を定義した公的な記載は見つかりませんでした
- その見出し行が印字されていない見積書もあります
- 工事でない費用が工事の内側にある様式があります
- 区分の金額でなく、工事の名前で照らす方法
そもそも区分の名前が社ごとに違う理由から知りたいときは。 会社によって書き方が違う理由
3区分に公的な定義はあるか
建設業法の条文にも、公共建築工事内訳書標準書式にも、この3区分を定義した記載は見つかりませんでした。
使ってよい言葉ですが、その線をどこに引くかは各社に委ねられています。
見積書の見出しに使われる「本体工事費」「付帯工事費」「諸費用」という言葉について、 当サイトは建設業法の条文と、国土交通省が公開している公共建築工事内訳書標準書式を確認しました。 いずれにも、この3区分を定義した記載は見つかりませんでした。
見積書について定めている条文は建設業法第20条です。同条第1項は、工事の種別ごとの材料費・労務費などの内訳と、工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を記載した見積書を 作るよう努めなければならないと定めています。これは努力義務です。 一方、同条第4項は注文者(=あなた。工事を発注する側)から請求があったときは、契約が成立するまでに交付しなければならないと定めており、 こちらは義務です。
条文が定めているのは「工事の種別ごと」に内訳を書くことまでで、 「本体工事費・付帯工事費・諸費用といった見出しでまとめよ」とは定めていません。 会社によって見積書の書き方が違う理由は、ここにあります。
「本体工事費」という言葉が使えないという意味ではありません。 使ってよいが、その線をどこに引くかは各社に委ねられている、ということです。
見つからなかったというのは、「存在しない」という意味ではありません。当サイトが当たった資料の範囲で見当たらなかった、ということです。 なお公的機関が費目の区分を使っている例はあります。住宅金融支援機構はフラット35利用者調査の用語解説で、建設費を「主体工事費、設計費、工事監理費、除却工事費、屋外附帯工事費などの合計額」と説明しています。 ただしこれは調査の集計に使う定義で、見積書の見出しを定めたものではありません。
実際の見積書では、この区分がどうなっていたか
当サイトは、家を建てた方がご自身で公開している書類9件と、見積を作る業務用ソフトが公開している見積サンプル1件を読み取りました。 区分について確認できたのは、次の3つです。
1. この見出しが無い様式がある
業務用ソフトの見積サンプルには、「本体工事費」という見出し行がありませんでした。
業務用ソフトの見積サンプルでは、24の工事名称が順に並んでいるだけで、 「本体工事費」という見出し行はありませんでした。仮設工事から始まり、基礎工事、木工事、屋根工事と続き、 最後が諸経費です。表紙には「別途工事:カーテン工事、外構工事、造園工事、カーポート」と印字されていました。
2. 工事ではない費用が、工事の見積の内側にある
申請の費用や諸経費が、工事の見積の内側に置かれている様式があります。
「諸費用は工事費とは別」という前提が、ここでは成り立ちません。
同じサンプルの24項目のうち、23番目が「諸手続・法定費用等」、24番目が「諸経費」でした。 どちらも工事ではありません。つまりこの様式では、申請の費用や諸経費が、工事の見積の内側にあります。 「諸費用は工事費とは別」という前提が、ここでは成り立っていません。
家を建てた方が公開していた書類にも、「管理諸経費」「安全管理費」が本体・付帯の工事の中に置かれている例がありました。
3. そもそも区分の軸が違う会社がある
大分類の主軸が躯体・外部・内部という「部位」の会社があります。
本体か付帯かという軸で分けていません。
ある会社の請負代金内訳書は、大分類の主軸が躯体(くたい。建物の骨組み)工事・外部工事・内部工事という分け方でした。 建物のどの部分かという部位で分けています。 なお同じ紙に「別途工事」の行も並んでおり、部位の軸だけで全部が分かれているわけではありません。
また別の会社の書類は「資金計画書」という名前で、土地代金や住宅ローンの費用まで同じ1枚に載っていました。 工事の見積書と、家を建てるのに要るお金の一覧とでは、載っている範囲が違います。
ここまでで言えるのは、「見出しの名前が同じでも、中身が同じとは限らない」ということです。 たとえば屋外の給排水工事は、当サイトが読み取れた範囲では、付帯工事の中に置かれている会社と、独立した大分類として立てている会社がありました。 同じ工事が、書類によって違う場所に入ります。
では、何を見ればよいか
見出しごとの金額ではなく、工事の名前が入っているかどうかを見ます。
見出しごとの金額ではなく、工事の名前が入っているかどうかを見ます。 2社の見積を並べて、片方にあってもう片方に無い工事名を探し、 無いほうの会社に「この工事は含まれていますか。別途になりますか」と聞きます。 見出しの区分が違っていても、この確認はできます。
ただし、工事の名前も揃うとは限りません
ここが手作業でつまずくところです。同じ工事に、会社ごとに違う名前が付いていることがあります。 当サイトが読み取った範囲では、建物の外の給排水工事だけで「屋外給排水工事」「外部給排水工事」など7通りの書き方がありました。
ですから「片方に無い」と思った行が、実は別の名前で入っていることがあります。 紙で照らすときは、名前が完全に一致しなくても、意味が近い行が無いかを先に探してください。 見当たらなければ、そのときに聞きます。
いちばん下の総額同士なら、比べてよいのか
その前に、2枚が同じ範囲を扱っているかを確かめてください。 上に書いたとおり、工事の見積だけの書類と、土地代金や住宅ローンの費用まで含む資金計画書とでは、載っている範囲が違います。 範囲が違う2枚の総額を比べても、どちらが安いかは分かりません。
範囲が揃っていることを確かめたうえでも、総額だけでは、片方に入っていない工事があとから足される分は見えません。 総額を見たあとに、工事の名前で照らす作業が要るのは、このためです。
複数社の見積を並べて確認する
当サイトの見積そろえは、この「片方にしか無い工事名を探す」作業のために作った無料のツールです。 上に書いた「同じ工事に違う名前が付いている」問題を、こちらで吸収します。 「屋外給排水工事」と「外部給排水工事」のような書き方の違いを同じ項目として扱ったうえで、 片方にしか無い項目を赤で表示します。
- 全部の行を入れる必要はありません。気になる工事の名前を数行入れるだけでも結果は出ます
- PDFの見積書は、読み込んで行を取り込めます(文字を指でなぞって選べるPDFのみ。写真やスキャンした画像のPDFは読み取れません)
- 見出しの区分は入力しません。工事の名前だけで足ります。金額を入れなくても、項目名だけで赤の表示は動きます
- 入力した内容はブラウザの中だけで処理され、どこにも送信されません。登録も不要です
まず何をするか
この記事から持ち帰るのは、次の3つで足ります。
- 見出しごとの合計金額を2社で比べるのをやめる。区分の線が会社ごとに違うので、比べても中身が揃いません
- 工事の名前で照らす。ただし同じ工事に違う名前が付いていることがあるので、意味が近い行が無いかも見ます
- 片方に見当たらない工事を書き出して聞く。「この工事は含まれていますか。別途になりますか」で足ります
この記事の元にした資料
3区分の定義については、建設業法の条文(e-Gov 法令検索)と、 国土交通省が公開している公共建築工事内訳書標準書式を確認しました。 ただし公共建築の書式は、注文住宅の書式ではありません。項目名の語彙を確認するために当たったものです。 24の工事名称と別途工事の記載は、見積を作る業務用ソフトが公開している見積サンプル(木造2階建・実在の方の案件ではありません)によります。 屋外の給排水工事を付帯工事として扱っている例は、設計事務所の自社説明によります。 建設費の説明は住宅金融支援機構の用語解説によります。 請負代金内訳書の部位別の分け方、資金計画書の形式、給排水工事の7通りの書き方は、家を建てた方がご自身で公開している書類9件を当サイトで読み取った範囲によります。 この9件は帳票の名前がすべて見積書というわけではなく、資金計画書・請負代金内訳書といった名前のものを含みます。 また1件は原本の画像がなくブログ本文への書き写しで、表記の一次証拠としては弱いものです。画像から読み取っているため、つぶれて読めない行もあります。会社名は挙げず、書き方の型として整理しました。
よくある質問
本体工事費と付帯工事費の違いは何ですか。
建物そのものを建てる工事を本体工事費、それ以外の工事を付帯工事費と呼ぶ使い方を、住宅会社の説明でよく見かけます。ただし当サイトが建設業法の条文と国土交通省の公共建築工事内訳書標準書式を確認した範囲では、この2つを定義した記載は見つかりませんでした。どこまでを本体工事費に含めるかは会社ごとの決め方によります。
見積書に本体工事費という見出しがありません。
その様式は実在します。当サイトが確認した見積ソフトの見積サンプルでは、24の工事名称が順に並んでいるだけで、本体工事費という見出し行はありませんでした。見出しが無いこと自体は、雑な見積という意味ではありません。確認したいのは、どの工事がその見積に入っていて、どれが入っていないかです。
諸費用は工事費とは別に用意するものですか。
会社によります。当サイトが確認した見積サンプルでは、24番目までの工事名称の中に「諸手続・法定費用等」と「諸経費」が含まれていました。つまり工事ではない費用が工事の見積の内側にありました。一方で、土地代金や住宅ローンの費用まで同じ1枚に載せる資金計画書の形式もありました。手元の書類がどちらの形かを先に確かめてください。
見出しごとではなく、いちばん下の総額同士なら比べてよいですか。
その前に、2枚が同じ範囲を扱っているかを確かめてください。当サイトが読み取った書類の中には、工事の見積だけのものと、土地代金や住宅ローンの費用まで含む資金計画書の形式のものがありました。範囲が違う2枚の総額を比べても、どちらが安いかは分かりません。範囲が揃っていることを確かめたうえで、それでも総額だけでは、片方に入っていない工事があとから足される分は見えません。
間取りプランと資金計画を、まとめて無料で。
届くのは各社の提案で、契約前の正式な見積書とは別のものです。比べるためのものなので、会社は複数選びます。
無料でまとめて依頼(外部サイトが新しいタブで開きます)希望する条件を1回入力すると、複数の住宅会社がそれぞれ作って送ってくれます。