ハウスメーカーの見積書を他社に見せてよいか|法令と契約の両面から確認する

(公開)| (更新)| 見積そろえ(運営:morati

【PR】記事内に広告リンクがあります 他社に見せる前に、渡さずに、そろえる

相見積もりを進めると、「A社の見積書をB社に見せてもよいのだろうか」という場面に行き当たります。 B社の営業から「他社さんの見積があれば見せてください」と言われることもあります。

先に結論から書きます。

当サイトで調べた範囲では、受け取った見積書を他社に見せることを直接禁じる法律の規定は見当たりません。 ただし次の2つが当てはまる場合は別で、まずそちらを確認してください。

  • 見積書の欄外や注記に、扱いについての記載がある(「第三者への開示を禁じる」等)
  • 打ち合わせのときに、秘密保持の書面に署名している

そのうえで、間取り図やパース(完成予想の絵)は渡さないほうが安全です。 また実務では、見積書そのものを渡さなくても目的を果たせる場合が多いのが要点です(後述)。

本記事は一般的な情報の整理であり、法律の助言ではありません。個別の契約についての判断は、契約書の記載と当事者間の確認によります。

この記事で分かること

  • 他社に見せてよいかを、法令の面から確認しました
  • 確認できた範囲では、禁止の定めは見当たりません
  • 見積書を渡さずに、範囲だけそろえる方法
  • 金額の一覧と、提案資料は分けて考えます

法令の面から確認する

見積書は、施主に渡すことが予定されている書類

ポイント

建設業法第20条は、条文が定める内容を書いた見積書を作ることを努力義務としています。

ただし施主から請求があったときは、渡すことが義務になります。

努力義務とは、「そうするよう努めなければならない」という書き方で、守らなくても直ちに違反にはならない種類の定めです。

施主とは、あなた、つまり工事を頼む側のことです。法律では「注文者」と呼びます。

第1項が求めているのは材料費などの内訳と、工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数で、条文はこれを書いた見積書を「材料費等記載見積書」と呼んでいます(令和7年12月12日施行の条文)。 条文の全文と頼み方は見積書がもらえないときにできることにあります。

受け取ったあとの扱いを禁じる規定は、確認できていない

ポイント

受け取った見積書を別の会社に見せることを直接禁じる法令の規定は、当サイトでは確認できていません。

施主が受け取った見積書をその後どう扱うかについては、建設業法に定めが見当たりませんでした。 当サイトで同法の条文を確認した範囲によります。

法令に定めが無くても、取り決めがあれば別

ポイント

当事者間で取り決めをしていれば、その内容に従う必要が生じえます。

見せる前に確認したいこと

見積書の欄外や最後のページの注記に、扱いについての記載がないか。

打ち合わせのときに、秘密保持についての書面に署名していないか

記載や取り決めがある場合は、そちらが優先されえます。

金額の一覧と提案資料は分けて考える

受け取る書類には2種類ある

ポイント

工事名称と金額が並ぶ見積書と、間取り図やパースなどの提案資料は、性質が違います。

パースとは、完成予想の外観や内観を描いた絵のことです。

著作権法は著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義しています(第2条第1項第1号)。

間取り図やパースのような提案資料は、この創作的な表現に当たりえます。 その会社が時間をかけて作った成果物でもあります。

範囲を確認したいだけなら、提案資料は渡さない

ポイント

見積の範囲を確認したいだけであれば、提案資料まで渡す必要はありません。

図面ごと他社に渡すことは避けてください。

扱いに迷う資料がある場合は、受け取った会社に直接確認するのが確実です。

そもそも何のために見せるのか

目的は2つに分かれる

ポイント

1つは金額の交渉材料にすること。この場合は金額そのものを見せることになります。

もう1つは見積の範囲をそろえること。こちらは金額を見せなくてもできます。

ここを分けておくと、見せるかどうかの判断が楽になります

「範囲」とは、どの工事までが含まれているか

ポイント

総額が安く見えても、A社に入っている工事がB社では別途なら、後から足されて逆転することがあります。

会社によって、見積書の書き方も含まれる項目も違います。 なぜそうなるかは見積書の書き方が会社によって違う理由で扱いました。

そのため「A社の見積に入っている工事が、B社の見積では別途になっていないか」を確かめる作業が必要になります。

ポイント

範囲をそろえたいだけなら、金額を見せる必要はありません。

見積書を渡さずに範囲をそろえる方法

項目名だけを、口頭かメールで確認する

ポイント

見積書そのものを渡す代わりに、項目名だけを確認します。

金額も、図面などの提案資料も相手に渡りません。

そのまま使える返し方

営業の方に「他社さんの見積を見せてください」と言われたときは、たとえばこう返せます。

「他社さんの資料をそのままお見せするのは控えているのですが、項目の抜け漏れだけ確認させてください。 いただいた見積に、地盤改良工事屋外給排水工事は含まれていますか。別途になるようでしたら、おおよその金額も教えていただけると助かります」

ポイント

金額を伏せる理由を「他社さんへの配慮」として伝えれば、角が立ちにくくなります。

そのうえで抜けていそうな項目を名指しで聞くと、相手も答えやすくなります。

どの項目を聞けばよいかは、見積に含まれていないことが多い費用にまとめてあります。

片方にしか無い項目を、まとめて洗い出す

ポイント

当サイトの見積そろえは、この作業のために作った無料ツールです。

金額を入力しなくても、項目名だけで動きます。

各社の見積の項目名を入力すると、片方にしか無い項目を赤で表示します

会社ごとの書き方の違い(「屋外給排水工事」と「外部給排水工事」など)は、同じ項目として扱ったうえで並べます。

入力した内容はブラウザの中だけで処理され、どこにも送信されません

見積そろえの入力欄を開く(無料・登録不要)

まだ比べる相手がいない場合

ここまでは、すでに2社以上の見積が手元にある前提の話でした。 まだ1社の見積しか無い場合は、比べる相手を先に用意する必要があります。 相見積もりの進め方は別の記事で流れを整理しました。

どのサービスからどの書類が出てくるのかを、先に知っておきたいときは。 一括見積・無料相談サービス4件の比較で、 各社の公式サイトに何と書かれているかを確認できます。

まとめ|見せるかどうかの前に、目的を分ける

ポイント

受け取った見積書を他社に見せることを直接禁じる法令の規定は、当サイトでは確認できていません。

ただし、見積書の注記や秘密保持の書面で取り決めがあれば、そちらが優先されえます。

「見せるかどうか」で迷う前に、何のために見せたいのかを分けます。 金額を交渉したいのか、見積の範囲をそろえたいのか。

ポイント

範囲をそろえたいだけなら、金額も図面も渡さずにできます。

項目名だけを口頭かメールで確認すれば足ります。

注意

間取り図やパースなどの提案資料は、見積書とは分けて扱ってください。図面ごと他社に渡すことは避けます。