注文住宅の見積もりを頼むタイミング|間取りが決まっていなくても頼める
【PR】記事内に広告リンクがあります展示場をいくつか回った段階で、間取りもまだぼんやりしているのに、見積もりを頼んでいいのかと迷うことがあります。 「そろそろ見積もりを出しましょう」と言われた場合も同じです。
先に結論から書きます。
間取りが決まっていなくても、見積もりは頼めます。 条文は「できる限り具体的な内容を提示し」と求めているだけで、 決まっていないことがあってはいけない、とは書いていません。
ただし、決まっていない部分は金額が確定しない行になります。 「一式」や「概算」と書かれて出てきて、後から動くのはそこです。 決めてから頼めばその行が減り、早く頼めば早く金額の形が見えます。どちらが正しいという話ではありません。
頼む前に決めておくのは3つです。 ①いつ入居したいか ②自分で買って付けたいものがあるか ③工事内容をどこまで決めておくか。 残りは会社から契約書の案を見せてもらう形になります。
そして、契約する相手に渡してから、その相手と契約するまでに置く期間が政令で決まっています。 工事1件の予定価格が500万円以上5,000万円未満なら10日以上、5,000万円以上なら15日以上。 1社ずつ渡す日をずらすと、後から渡した会社を選んだときに、そのぶん契約が後ろにずれます(その会社が期間の満了を待たずに見積書を出したときは、ずれません)。
本記事は条文の整理であり、法律の助言ではありません。 日数には短縮の但し書きがあり、この条文が個人の施主に及ぶかを当サイトは確かめていません(後述)。 予定を立てるための数字として読んでください。
この記事で分かること
- 決まっていなくても頼めます。ただし決まっていない部分は金額が動きます
- 頼む前に決めるのは3つ。残りは会社から案を見せてもらう形です
- 契約する相手に渡してから、その相手と契約するまで10日以上か15日以上空きます(短縮の但し書きあり)。同じ日に全社へ渡せば、数え始めもそろいます
そもそも見積書が出てこないときは。 ハウスメーカーから見積書がもらえないときに、こちらからできること
条文は、頼む側に2つを求めている
建設業法第20条は、見積もりについての条文です。8つの項に分かれています。
ほとんどは建設業者(住宅会社)が何をするかの定めですが、 第3項だけは向きが逆で、「注文者」=頼む側の定めです。
「項」は条文の中の段落の番号、「号」はその中の箇条書きの番号です。 第4項は両方に掛かっていて、前半が注文者、後半が建設業者の定めになっています。
この記事に出てくる「注文者」「発注者」「施主」は、 どれも家を建てる側=この記事を読んでいるあなたのことです。条文とガイドラインで言い方が違うだけです。 反対側は「建設業者」「受注予定者」=住宅会社です。
随意契約=入札をせずに、相手を決めて結ぶ契約のことです。
入札=複数の会社に金額を出させて選ぶやり方で、主に公共の工事で使われます。
条文はこの2つの場合を並べて書いています。入札なら「入札の日まで」、そうでなければ「契約の日まで」と、期間の終わりが変わるためです。
あなたが入札の手続きを取らないかぎり、条文の上ではもう一方(随意契約)に当たります。 展示場で話を進めて1社と契約する形は、入札ではありません。
建設業法第20条第3項(原文):
「建設工事の注文者は、請負契約の方法が随意契約による場合にあつては契約を締結するまでに、入札の方法により競争に付する場合にあつては入札を行うまでに、第十九条第一項各号(第二号を除く。)に掲げる事項について、できる限り具体的な内容を提示し、かつ、当該提示から当該契約の締結又は入札までの間に、建設業者が当該建設工事の見積りをするために必要な期間として政令で定める期間を設けなければならない。」
「提示し」と「期間を設けなければならない」の2つが並んでいます。 順番は先に示して、それから待つです。
条文は「提示し」としか書いていません。紙で渡せとも、口で言えばよいとも書かれていません。
当サイトは、何をもって「提示した」ことになるのかを確認できていません。 そのためこの記事では、メールでよいのか、紙にして渡すべきなのかを言えません。
言えるのは、条文が方法を限っていないということだけです。 メールなど日付が残る形にしておけば、自分がいつ渡したかは確かめられます。
頼む前に決めるのは3つ
条文が挙げている事項は多いのですが、家を建てる側が自分で決めるのは3つです。
残りは会社から契約書の案を見せてもらう形になります。
そのまま口に出せる3つ
①「◯年の春ごろに入居したいです」月まで決まっていなくて構いません
②「照明(食器洗浄機・カーテンなど)は自分で買って付けてもらいたいです」
③「間取りはここまで決まっています。決まっていないところは、そう書いてください」何も決まっていないなら、そう言えば足ります
①は完成の時期のことです。 ここも、決まっている範囲で構いません。条文が求めているのは「できる限り具体的な内容」なので、 「◯年の春ごろ」でも、何も言わないよりは具体的です。 決まっていないなら、決まっていないと言えば足ります。
②は施主支給と呼ばれるもので、条文にも項目として並んでいます。 自分で買うぶんは会社の見積もりから外れるので、先に言わないと二重に入ります。
③は決まっていない部分をはっきりさせておくということです。 決まっていないまま出てきた行は「一式」「概算」と書かれ、後から金額が動きます (「一式」「1式」の違いと「概算」の意味)。
条文の対応:①=第19条第1項第三号(工事着手の時期及び工事完成の時期)/②=同第十号(注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め)/③=同第一号(工事内容)。
残りは、会社から案を見せてもらう
条文が挙げているのは全部で15項目(第19条第1項の16号から、金額の号を除いたもの)。
残りは地震などで工期が延びたときの扱い、工事で近所に損害が出たときの負担、引き渡し後に不具合が見つかったときの責任、もめたときの解決方法など、契約書の中身です。
条文は、これらも「見積もりの前に示す」ものとして並べています。 見積もりは金額だけの紙ではなく、これらの条件のもとでいくらかという答えだからです。
施主の側からこれを全部用意するのは、現実には難しいはずです。 会社から契約書の案を先に見せてもらい、その条件で見積もってもらうという形になります。
渡してから契約までに置く期間
政令が定める3段階
日数は建設業法施行令 第五条の九にあります。工事1件の予定価格で3段階です。
施行令(政令)は、法律が「政令で定める」と書いた中身を埋める決まりです。 ここでは、法律が「必要な期間」とだけ書き、その日数を施行令が決めています。
| 工事1件の金額(予定価格) | 渡してから契約までに置く期間 |
|---|---|
| 500万円未満(注文住宅では、まず当たりません) | 1日以上 |
| 500万円以上 5,000万円未満 | 10日以上 |
| 5,000万円以上 | 15日以上 |
注文住宅は、多くが2段目か3段目に当たります。 住宅金融支援機構のフラット35利用者調査(2025年度)では、注文住宅の建設費の全国平均が4,259.8万円でした(全国・3,889件の平均)。 この調査の「建設費」は建物の工事費に加えて、設備の工事・設計・工事の監理・古い建物の取り壊し・外構などの費用を合計した額で、 土地の代金は含みません。 つまり示してから契約まで、10日以上か15日以上です。 3段目に当たるなら15日以上なので、2週間では足りません。
「予定価格」に、条文の定義はありません。 建設業法にも施行令にも定義の規定は置かれていないので、当サイトは これから見積もってもらう工事の金額という意味に読んでいます。 手元に数字が無くても、その工事が5,000万円以上になるかどうかだけ分かれば、置く日数は決まります。 それも分からないなら、長いほうの15日を見ておけば、どちらでも足ります。
短縮の但し書き
同じ条文に、こう書かれています(原文)。
「ただし、やむを得ない事情があるときは、第二号及び第三号の期間は、五日以内に限り短縮することができる。」
10日以上・15日以上は、短縮されうる数字です。「必ず10日もらえる」という意味ではありません。
この条文が自分に及ぶかは、確かめられていない
当サイトは、この条文が個人の施主にそのまま及ぶかを確認していません。
条文は義務を負う側を「建設工事の注文者」と書いていて、個人を除く記載は見当たりませんでした。 ただし国土交通省は、注文者の側を正面から扱ったガイドラインを別に出しています。 その適用範囲に、こう書かれています(原文)。
「(注2)本ガイドラインは、公共工事及び民間工事における発注者と受注者との間の取引全般を対象としているが、個人が発注する工事で専ら自ら利用する住宅や施設を目的物とするものに関する取引は含まない。(1.(2)イを除く。)」 (『発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン』第8版・令和8年1月・国土交通省不動産・建設経済局建設業課、2ページ)
末尾の括弧は、例外の指定です。除かれている「1.(2)イ」は受注予定者から発注者への通知(建設業法第20条の2第2項)のことで、 そこだけは個人の家づくりも対象に含まれます。この記事が扱っている見積期間は、その例外に入っていません。
これはガイドラインが扱う範囲の話で、法律が及ぶ範囲そのものではありません。 ただし見積期間を扱っている部分は、個人が自ら住む住宅の発注を外して書かれています。
そのため「法律で10日と決まっているので待ってください」とは言えません。 相手に守らせるための数字ではありません。
自分の予定表を作るための数字として使えます。
「条件を渡してから契約まで、10日か15日は空く」と分かっていれば、 そのぶんを予定に入れておけます。
ここで分かるのは、契約の直前の1区間だけです。 設計にどれくらいかかるか、着工から完成まで何か月かは、当サイトは調べていません。 入居したい日から全体を逆算するには、その2つが別に要ります。
渡す日をずらすと、契約できる日も後ろにずれる
条文の期間は「契約する相手に提示してから、その相手と契約するまで」に置くものです。
期間の終わりは契約の締結であって、見積書が届いた日ではありません。
国土交通省のガイドラインは、4月1日に条件を提示した場合の例を挙げて、 10日以上に当たるなら4月12日以降でなければ契約できないと書いています。
4月1日から10日で4月11日ではないのか、と思ったら、渡した日そのものは数に入りません。 4月2日から数えて4月11日まで。契約できるのは、その次の4月12日からです。 ガイドラインは、なぜそう数えるのかを書いていません。 当サイトは、条文が「当該提示から当該契約の締結までの間に」と書いていること、 および民法の期間の数え方(第138条・第140条)から、そう読んでいます。これは当サイトの読みです。 ガイドラインが挙げている3段(1日・10日・15日)は、どれもこの数え方で合います。 同じ箇所に「受注予定者が所定の見積期間満了を待たずに見積書を交付した場合を除き」とあります。 これは例外の定めで、会社が期間の満了を待たずに見積書を出したときは、その日数を待たずに契約できると読めます。
数えるのは、あなたが契約する相手に条件を渡した日からです。契約しない会社に渡した日は関係ありません。
たとえばA社に4月1日、C社に4月20日と渡していったとします。 C社を選ぶなら、数え始めはC社に渡した4月20日です。 1社ずつ渡す日をずらすと、後から渡した会社を選んだときに、そのぶん契約が後ろにずれます(その会社が期間の満了を待たずに見積書を出したときは、ずれません)。 同じ日に全社へ渡しておけば、どの会社を選んでも数え始めは同じ日です。 ただし上の例外にあたる場合、つまりその会社が期間の満了を待たずに見積書を出したときは、ずれません。
1社目の答えを見てから2社目に出す場合、答えが返るまでに何日かかるかは当サイトは調べていません。 そのため合計が何日になるかは書けません。書けるのは、渡す日をずらせばずれる、ということだけです。
当サイトは、この日数を守らなかった場合にどうなるかを確認していません。 そのため契約を止める理由としては使えません。 あなたと会社の両方が納得して早く契約したいときに、この記事が止める材料になることはありません。
当サイトが読んだ範囲では、複数の会社へ同時に頼むことを禁じる規定は見当たりませんでした。 条文は注文者が何社に頼むかについて、何も書いていません。
伝えるかどうかも、頼む側が決められます。 そのまま言うなら「ほかにも数社に、同じ条件でお願いしています」で足ります。 条件をそろえて頼むことが前提なので、隠す必要のあるものではありません。
言わなければならない、とも書かれていません。 伝えた場合に各社がどう応じるかを、当サイトは確かめていません。 受け取った見積書を他社に見せてよいかは、別の話です。 他社の見積書を見せてよいかにまとめました。
比べる前に条件をそろえる手順は注文住宅の相見積もりを比較する手順にまとめました。
出てきた見積書に「一式」「概算」の行が並んでいたら、 「一式」「1式」の違いと「概算」の意味で扱っています。
よくある質問
見積もりが出てくるまで、どれくらいかかりますか。
当サイトは、会社ごとに実際どれくらいかかるかを書いていません。それを示した資料を確認できなかったためです。 確認できたのは、法令が「頼む側が置くべき期間」を定めていることです。 500万円以上 5,000万円未満なら10日以上、5,000万円以上なら15日以上。 ただし、やむを得ない事情があるときは5日以内に限り短縮できます。
この日数は、個人が家を建てるときにも当てはまりますか。
当サイトは確認していません。条文は「建設工事の注文者」と書いていて、個人を除く記載は見当たりませんでした。 ただし国土交通省が注文者の側を扱ったガイドラインは、個人が自ら住む住宅の発注を対象から外すと書いています(ガイドラインの範囲の話で、法律が及ぶ範囲そのものではありません)。 そのまま及ぶかどうかは確かめられていません。
何社に同時に頼めばいいですか。
当サイトは社数を示していません。根拠になる資料を確認できていないためです。 分かっているのは、条文の期間が「契約する相手に渡してから、その相手と契約するまで」のものだということだけです。 同じ日に全社へ渡せば、どの会社を選んでも数え始めは同じ日になります。 1社ずつ渡す日をずらすと、後から渡した会社を選んだときに、そのぶん契約が後ろにずれます(その会社が期間の満了を待たずに見積書を出したときは、ずれません)。
「他社にも頼んでいます」と言ってもいいですか。
当サイトが読んだ範囲では、複数の会社へ同時に頼むことを禁じる規定は見当たりませんでした。 条文は何社に頼むかについて、何も書いていません。伝えるかどうかも、頼む側が決められます。 ただし伝えた場合に各社がどう応じるかは、当サイトは確かめていません。
先に何を伝えればいいですか。
3つです。入居したい時期、自分で買って付けたいもの、工事内容をどこまで決めておくか。 条文が挙げている項目はもっと多いのですが、残りは契約書の中身なので、会社から案を見せてもらう形になります (そのまま口に出せる3つ)。
この記事の調べ方
- 建設業法の条文は、e-Gov 法令検索のデータを取得して読みました(昭和24年法律第100号)
- 建設業法施行令も同じく取得しました(昭和三十一年政令第二百七十三号)。見積期間の条文は「第五条の九」です
- 会社ごとに実際どれくらいかかるか、何社に頼むべきかは書いていません。根拠になる資料を確認できなかったためです
- この条文が個人の施主に及ぶかは確認していません。条文に限定は見当たりませんが、それだけでは確かめたことになりません
- 令和7年12月12日施行の条文を、2026年8月22日に閲覧しました
- ガイドラインの引用は『発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン』第8版・令和8年1月・国土交通省不動産・建設経済局建設業課(PDF)の2ページと9ページです
- 「予定価格」の定義は、建設業法と施行令の全文を機械で走査して探しました。語は法に1回・施行令に3回出てきますが、定義の規定は置かれていませんでした
- 建設費の金額は住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」2025年度(注文住宅・全国・3,889件)から取りました。中身の内訳は、同じ資料の用語の定義(11)「建設費」に書かれています
- 日の数え方は民法(e-Gov 法令検索・明治29年法律第89号)で確認しました。第140条「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。」。第138条が「期間の計算方法は、法令若しくは裁判上の命令に特別の定めがある場合又は法律行為に別段の定めがある場合を除き、この章の規定に従う」と定めており、建設業法と施行令の全文を走査して、見積期間の起算についての特別の定めが無いことを確認しました
- この日数を守らなかった場合にどうなるかは、確認していません。
- 参考:この日数を解説している他の記事には「施行令第六条」と書かれているものがあります。2025年12月11日まではそれが正しい条番号でした。令和七年政令第三百七十九号(2025年12月12日施行)で第六条から第五条の九へ、参照先も法第20条第4項から第3項へ変わっています。日数と但し書きの中身は変わっていません。国土交通省のガイドラインも、本文が「第6条」、巻末が「第五条の九」のままです
まとめ|決まっていなくても頼める
間取りが決まっていなくても、見積もりは頼めます。
契約する相手に渡してから、その相手と契約するまでに置く期間は10日以上か15日以上(短縮の但し書きつき)。
頼む前に決めるのは3つです。 入居したい時期、自分で買って付けたいもの、工事内容をどこまで決めておくか。 残りは会社から案を見せてもらい、その条件で見積もってもらう形になります。
決まっていない部分は一式・概算の行になり、あとから金額が動きます。 それは書き方の問題ではなく、決まっていないことがそのまま出ているだけです。
1社ずつ渡す日をずらすと、後から渡した会社を選んだときに、そのぶん契約が後ろにずれます(その会社が期間の満了を待たずに見積書を出したときは、ずれません)。同じ日に全社へ渡せば、数え始めもそろいます。
この日数は、相手に守らせるための材料ではありません(条文が個人の施主に及ぶかを、当サイトは確かめていません)。 自分の予定表を作るための数字です。
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