注文住宅の見積もりが後から上がる箇所の見分け方
【PR】記事内に広告リンクがあります住宅会社から見積をもらったあとに「この金額はまだ変わる可能性があります」と言われることがあります。 実際、打ち合わせが進むと金額が動きます。 この記事は、まだ契約していない段階で、手元の見積書のどこが動きうるかを先に見ておきたい方に向けたものです。 見積が1社ぶんでも2社ぶんでも読めます。
金額が動く場所は、大きく2つに分かれます。
- 最初の見積書に載っているが、「まだ決まっていない」と分かる書き方がされている行
- 最初の見積書に、行そのものが無い費用
どちらも、いま手元にある見積書を見れば見当が付きます。順番に見ていきます。
この記事で分かること
- 後から動く行は、契約前の見積書で見分けられます
- 動くのは「まだ決まっていない」行と、行が無い費用
- すぐ確認できる表記の一覧を載せています
- 「いくら上がるか」の金額は書いていません
見積書に並ぶ表記の意味から確かめたいときは。 「一式」「1式」の違いと「概算」の意味
先に、見積書のどこを見るか
後から金額が動くのは、いま数字が入っていない行です。
契約前の見積書から、その行を先に見つけておきます。
この記事では「項目名の欄」「数量の欄」「単位の欄」「金額の欄」という言い方をします。 見積書はふつう、次のように横に並んだ表になっています。
| 項目名 | 数量 | 単位 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 基礎工事 | 1 | 式 | 1,850,000 |
| 地盤改良工事 | 0.00 | 式 | — |
この記事で見てほしいのは、いちばん右の金額の欄だけではありません。 数量・単位・項目名の欄にも、金額がまだ決まっていないことを示す言葉が入ります。 上の例でいうと、2行とも、このあと説明する「まだ決まっていない」の対象です。 1行目は単位の欄が「式」で、細かい内訳をまとめた1行になっています。 2行目は数量が 0.00 のままで、金額そのものが入っていません。
上の表は欄の位置を示すための例で、実在の見積書ではありません。 会社によっては数量や単位の欄が無い書式もあります。その場合は、項目名の欄と金額の欄だけを見てください。
1. 「まだ決まっていない」と書かれた行を見つける
金額欄が数字でない行を探します。
「一式」「概算」「調査による」「お施主様支給」などが入っています。
金額が確定していないことを示す表記を、公開されている見積書から集めたところ11通りありました。意味でまとめると9種類です。 まず、それぞれが何を言っているのかを並べます。
- 一式(いっしき)/1式
- 数量の欄や単位の欄に入り、細かい内訳(うちわけ。何にいくらかかっているかの明細)をまとめて1行にしたことを示します。
- (予算取)(よさんどり)
- 予算として仮に置いてある金額、という意味です。
- (概算)(がいさん)/(概)
- おおよその金額、という意味です。
(概)は(概算)を縮めた書き方です。 - 調査による
- 調査をしたあとに金額が決まる、ということです。
- 融資計画による
- 融資(住宅ローンなど)の計画が決まったあとに金額が決まる、ということです。
- ↑上記に含む
- 上の行の金額にまとめられていて、この行だけの金額は出ていない、ということです。
- 別紙明細書(べっしめいさいしょ)
- 金額の欄に数字ではなくこの言葉が入っていて、内訳が別の紙にある、ということです。
- お施主様支給(おせしゅさましきゅう)
- その品物を、家を建てる人が自分で用意する扱いになっている、ということです。
- 数量が 0.00
- 1つあたりの値段だけが先に出ていて、いくつ必要かがまだ決まっていない、ということです。
意味は表記の言葉どおりに読んだものです。使い方は会社によって違うことがあるので、 確定した金額かどうかは担当の方に確認してください。
どの欄に書かれるかは、会社によって違いました。当サイトが読み取れた範囲で欄まで確認できたのは、次の3つです。
- ある会社の見積書は、単位の欄がほぼ全部の行で「一式」でした
- 別の会社では、項目名の側に付いていました(「水道利用加入金(概)」のような書き方です)
- 「お施主様支給」は、金額の欄が数字ですらない状態でした
ここで大事なのは、会社によって使う表記が違うという点です。 当サイトが読み取れた範囲では、3社の見積書には「一式」も「1式」も見当たりませんでした。 その3社は代わりに「(予算取)」「(概算)」「別紙明細書」「お施主様支給」といった書き方で同じ状態を示しています。 つまり「一式が少ない見積書だから、金額はすべて確定している」とは限りません。 上の9種類をひととおり探すほうが確実です。
なお、「一式」は手を抜いた書き方ではありません。国が定めた公共工事の書式でも認められている書き方で、 住宅会社が独自に使っている略記ではない、という意味です。気にしたいのは、一式と書かれていて、 かつ内訳を示す別紙が付いていないときです。
ほとんどの行が「一式」だったときは
1行ずつ印を付けても絞り込めません。その場合は、行を選ぶ作業をやめて、 「内訳の分かる見積書をください」と伝えるほうが早いです。 これは請求できます(5番目の見出しで扱います)。 別紙の明細がすでに付いている場合は、そちらに数量と単価が出ていることがあるので、先に確認してください。
それぞれの表記をもう少し詳しく知りたい場合は「一式」「1式」の違いと「概算」の意味で扱っています(用語の確認はこちらです)。
2. 数量が後から決まる行を見る
数量が 0.00 のまま単価だけ載っている行は、量がまだ決まっていません。
金額は「1つあたりの値段 × 数量」で決まります。値段が先に出ていても、数量が決まっていなければ、その行の金額はまだ立っていません。
実際、見積を作る業務用ソフトが公開しているサンプルでは、地盤改良工事が数量 0.00 のまま項目として並んでいました。 地盤改良は、地盤の状態に応じて、建物を建てる前に地面に対して行う工事です。 土地の条件によって、必要かどうかも規模も変わります。 また、ある会社は「調査による」「融資計画による」という表記を使っていました。 どれも、あとで決まると書いてある行です。
この種の行は、値上げされたというより、最初から「あとで決まる」と書かれていた行の金額が入ったという形になります。 見積書を受け取った時点で数量の欄と注記を見ておくと、どの行が動きうるかを先に把握できます。
3. 「まだ載せていない費用がある」と書いてある枠を探す
見積書に「別途工事」の欄があれば、そこに書かれた工事はこの金額に入っていません。
家を建てた方が公開していた9件のうち1件には、「未計上工事及び費用」という枠が最初から印刷されていました。 「まだ載せていない工事と費用」という意味です。その見積書は、載っていない費用があることを書式そのもので示していることになります。
どの費用が載りにくいかについては、国民生活センター(消費生活の相談を扱う公的機関)の解説(2018年2月公表)が理由まで説明しています。 カーテンレールは「標準契約には含まれないことが一般的」で、別に契約することが多いとされています。 つまり、何も足していない状態の見積には入っていないことが多い、ということです。 理由はひだ(カーテンのたたみじわ)の取り方によってレールの長さが変わるなど、契約の時点では中身が決まらないためと説明されています。 照明器具についても、選ぶ人の好みで決まる設備であるため、別の工事として扱われることが多い、とされています。
つまり、あとから足される費用の一部は、何を選ぶかが決まっていないから、その時点では金額にできないという性質のものです。 どの費用が挙がりやすいかは見積に含まれていないことが多い費用に一覧があります。 見積書に見当たらない費用こそ、担当の方に名前を挙げて聞いておく価値があります。
4. 契約したあとに足される行の書かれ方
契約後に足される費用は、契約前の見積書にも書かれていることがあります。
注記や欄外に小さく入るので、探す場所を知っておきます。
ここは契約後の話ですが、これから何が起きるかを先に知っておく部分なので、契約前の方も読めます。 契約したあとの変更や、工事中に出てきた追加が、どう書類に書かれるかを実物から確認しました。
- ある会社の書類には、日付が付いた「追加変更工事」が、明細の1行として印字されていました
- 別の会社は、オプションの行に OP、工事中に出てきた追加に ★ という印を付けて区別していました
追加は、別の紙で来るとは限りません。明細の1行として書かれる形があります。 最初にもらった見積と最新のものを並べて、行が増えていないかを見ると、どこが足されたかを追えます。
見比べるときに1つ注意しておきたい点があります。ある会社では、契約のときに「電気設備工事」だった工事の名前が、 契約後の変更書類では「電気配線工事」になっていました。同じ会社の書類の中でも、工事の名前は揺れます。 名前が一致するかどうかだけで追うと、同じ工事を別のものとして数えてしまいます。
ここは、名前ではなく中身で聞くほうが早い部分です。 「この行は、前の見積のどれに当たりますか」と、行を指して聞けば済みます。
5. 内訳の分かる見積書は請求できる
建設業法第20条第4項は、建設業者は、注文者から請求があったときは、請負契約が成立するまでに交付しなければならないと定めています。
交付の対象は、第1項が定める材料費などの内訳と、工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を書いた見積書です。作成そのものは第1項の努力義務なので、請求すれば必ず内訳付きが出てくるという意味ではありません。詳しくは見積書がもらえないときにできることにあります。
どの行がどう積み上がっているか分からないときに、家を建てる側から取れる手があります。
建設業法第20条は、工事を請け負う建設業者(許可を受けて建設業を営む会社)について定めた条文です。 依頼しようとしている会社が許可を受けているかは、建設業許可番号で分かります。会社のホームページや会社案内に載っていることが多い番号です。 その第1項は、工事の種類ごとの材料費や人件費などの内訳と、工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を書いた見積書を作るよう定めていますが、これは努力義務という書き方です。 「そうするよう努めなければならない」という定め方で、内訳をどこまで細かく書くかが会社ごとに違うのは、ここに理由があります。
一方で同条第4項は、建設業者は、注文者(=あなた。工事を発注する側)から請求があったときは、請負契約が成立するまでにその見積書を交付しなければならないと定めています。 こちらは義務です。家を建てるために工事を注文する人が「注文者」ですから、これから契約する側から請求できます。
条文はこの見積書を「材料費等記載見積書」と呼んでいます(令和7年12月12日施行の条文)。作成そのものは第1項の努力義務なので、請求すれば必ず内訳付きが出てくるという意味ではありません。条文の全文は見積書がもらえないときにできることで引用しています。
言い方は、たとえばこの程度で十分です。
「比べたいので、内訳の分かる見積書をいただけますか。金額を値切りたいということではなく、どこまで含まれているかを知っておきたくて」
本記事は一般的な情報の整理であり、法律の助言ではありません。個別の契約についての判断は、契約書の記載と当事者間の確認によります。
6. 「いくら動くのか」と「上がるだけなのか」について
金額そのものは、当サイトでは書いていません。工事ごとの相場を一次情報で確認できていないためです。
ここまでで「どの行が動くか」は分かりますが、いくら動くかは、この記事では書けません。 地盤改良のように土地の条件で決まる工事があり、外構やカーテンのように選ぶもので変わる費用もあります。 当サイトでは、これらの金額の目安をおおもとの資料で確認できていないので、数字を書きません。
上がる一方なのかどうかも、当サイトでは確かめていません。 「(予算取)」のように仮に置いた金額なら、確定して下がることもありえます。 ただし2つめの経路、つまり最初の見積書に行が無かった費用は、あとから足されるので増える側です。 カーテンや外構が別だった場合、その金額はそのまま総額に乗ります。
金額を確認できたのは、工事の代金ではなく税と手数料の側でした。参考として2つ挙げます。
- 契約書に貼る印紙税:工事の請負契約書が1,000万円超〜5,000万円以下で1万円、5,000万円超〜1億円以下で3万円(軽減措置。2027年3月31日まで)
- 建築確認の申請手数料:横浜市の例では、延べ面積30㎡超100㎡以下で、確認申請28,000円・中間検査28,000円・完了検査30,000円。 これは100㎡以下の場合の額です。一般的な注文住宅はこれより広いことが多く、その場合の額は別に定められています。自治体や検査機関ごとにも違います
どちらも工事の代金とは別に、国や自治体、検査機関に納めるお金です。 見積書に載せている会社と、載せていない会社があります。
7. 複数社を並べると、動く余地の差が見える
同じ工事でも、片方は金額が確定していて、片方は未確定ということがあります。
1社の見積書だけを見ていると、まだ決まっていない行が多いのか少ないのかを判断できません。 A社が地盤改良を数量 0.00 の行として載せていて、B社にはその行自体が無い場合、 総額だけを比べるとB社のほうが安く見えます。見えているのはA社の側だけ、という状態です。
ただし、行が無いことが「その工事はかからない」を意味するとは限りません。 地盤改良のように土地の条件で要否が決まる工事もあります。行が無い側にこそ、聞くことがあります。
もう1つ、当サイトが実物の見積書を数えていて気づいたことがあります。 「一式」や「概算」といった表記の数だけを他社の見積書と比べても、多い少ないの判断材料にはなりません。 何行に分けて書くかという書類の粒度が会社ごとに違うためです。 大きな工事をまとめて1行で「一式」と書く会社もあれば、同じ内容を10行に分けて内訳まで書く会社もあります。 見るべきは表記の数ではなく、その一式の中に何が含まれているかです。
この差を表にするために、このサイトと同じ名前の見積そろえという無料のツールを置いてあります。 全部の行を入れる必要はありません。気になる工事の名前を数行入れるだけでも使えます。 紙の見積しか無い側も、その数行だけ打ち込めば比べられます。
- 片方の見積にしか見つからなかった項目は赤で出ます。これは項目名だけ入力すれば分かります。ただし同じ工事を違う名前で書いているだけのこともあるので、各社の元の書き方も表に並べて出します
- 金額が決まっていない行は黄で出ます。こちらは金額の欄も入力してください(数量と単位まで入れると「一式」「数量0.00」も拾えます)
- PDFの見積書があれば読み込めます。文字を指でなぞって選べるPDFなら読み込めます(写真やスキャンした画像のPDFは読み取れません)
- 入力した内容はブラウザの中だけで処理され、どこにも送信されません。登録も不要です。スマートフォンの画面幅にも合わせてあります
色が付いたあとにすることは1つです。赤や黄が付いた行の名前を控えて、 担当の方に「この工事は入っていますか」「この行はいくらになりそうですか」と聞きます。 色は、聞く相手と聞く項目を決めるためのものです。
まとめ|まず何をするか
後から上がるのは、いま数字が入っていない行です。
契約前に、その行に印を付けて「何が決まると確定しますか」と聞きます。
この記事から持ち帰るのは、次の3つで足ります。
-
手元の見積書で、次の表記が付いた行に印を付けてください。数量の欄と単位の欄も見ます
一式/1式 (予算取) (概算)/(概) 調査による 融資計画による ↑上記に含む 別紙明細書 お施主様支給 数量が 0.00
印を付けたら、金額の大きい行から順に「この行はいくらぐらいになりそうですか。何が決まると確定しますか」と聞きます。
先に聞くとよいのは、「お施主様支給」(自分で買うことになっている品物)と「数量が 0.00」(数量が決まると金額が立つ行)です。 「↑上記に含む」は上の行に金額が入っているので、総額が増える話ではありません。
ほとんどの行が「一式」で絞り込めないときは、この作業はとばして3番へ進みます。 -
行が見当たらない費用を書き出して、名前を挙げて担当の方に聞いてください。「別になりますか、おおよそいくらですか」で足ります
カーテン・カーテンレール 照明器具 エアコン 外構(建物の外まわりの工事) 解体(建て替えのとき、元の建物を壊す費用) 地盤改良 登記(建物を法務局に登録する手続きの費用) 火災保険 ローンの手数料
抜けやすい費用の一覧はこちら -
内訳が分からないときは「内訳の分かる見積書をください」と伝えてください。契約が成立するまでは請求できます
「比べたいので、内訳の分かる見積書をいただけますか。金額を値切りたいということではなく、どこまで含まれているかを知っておきたくて」
この記事の元にした資料
本文の観察は、家を建てた方が自分の見積書を公開しているもの9件(うち2件は原本の画像がなく、ブログの本文に書き写されたものです)と、 見積を作る業務用ソフトが公開している見積サンプル1件(実在の方の案件ではありません)を、当サイトで読み取った範囲によります。 画像から読み取っているため、つぶれて読めない行もあります。会社名は挙げず、書き方の型として整理しました。 税と手数料の金額は、国税庁のタックスアンサー(No.7108)と横浜市の手数料一覧によります。 カーテンレール・照明器具についての説明は、国民生活センターの解説(2018年2月公表)によります。
よくある質問
契約後に見積が上がるのは、よくあることですか。
当サイトでは「よくある」「必ず上がる」といった頻度の断定はしていません。確認できているのは、契約前の見積書に金額がまだ決まっていないことを示す表記が実際に使われている、という点だけです。その行が後から動きうる、ということです。
いくらぐらい上がりますか。
工事ごとの相場は書いていません。一次情報で確認できていないためです。金額を確認できたのは、工事の代金ではなく税と手数料の側で、そちらは本文に金額と出典を載せています。代わりに、動く可能性がある行を契約前に見分ける方法を書いています。
契約前にできることは何ですか。
金額がまだ決まっていない表記が付いた行に印を付け、金額の大きい行から「この行はいくらぐらいになりそうですか。何が決まると確定しますか」と聞くことです。そのうえで、行が見当たらない費用を名前を挙げて確認します。
見積書に載っていない費用は、どうやって見つけますか。
抜けやすい費用の名前を先に持っておいて、1つずつ照らします。カーテン・照明器具・エアコン・外構・解体・地盤改良・登記・火災保険・ローンの手数料などです。
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届くのは各社の提案で、契約前の正式な見積書とは別のものです。比べるためのものなので、会社は複数選びます。
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