ハウスメーカーに見積書の返却を求められたら|返す前に写す5つの欄

(公開)| 見積そろえ(運営:morati

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複数の会社から見積もりを取っている途中で、断った会社から「見積書を返してください」と言われることがあります。 返してしまうと、残った会社の紙と照らし合わせられなくなります。

返す前に、金額と5つの欄を写します。写しておけば、紙を返しても、残った会社の紙と比べられます。

返す義務があるかどうかは、建設業法には書かれていませんでした。返せとも、返さなくてよいとも書かれていません。

だから、返しても比べられる状態にしてから返します。

この記事で分かること

  • 返す前に書き写す5つの欄
  • 建設業法に返還の定めが無いこと
  • まだ断っていない会社への請求のしかた

返す前に書き写す5つの欄

写すのは、この5つの欄です
①紙の一番上 御見積書 「資金計画書」など、見積書ではない名前のことがあります
②大きな見出し 付帯工事費 帯工事費」と漢字が違う会社があります
③工事の名前 屋外給排水工事 同じ工事が7通りの名前で書かれていました
④単位と数量 0.00 数量が空なら、あとから金額が動きます
⑤未確定の表記 一式 「一式」だけではありません。11通りあります

写す前に、見積書の欄外や注記と、打ち合わせで署名した書面を見てください。 扱いについての記載があれば、そちらが効きます。何も書かれていなければ、取り決めは無かったということです。

時間がほしいときは「書き写したいので、少しお時間をいただけますか」で足ります。 その場で返すことになっても、①と②だけなら数分で写せます。

①紙の一番上の名前

実物9件のうち、名前を読み取れた6件はこう分かれていました。 建物本体工事御見積書請負代金内訳書資金計画チェックリストマイホーム資金計画書資金計画書

名前が違うと、載っている範囲が違います。 資金計画の名前がついた紙には、土地代金・保険・住宅ローンの返済計画まで同じ面に載っているものがありました。 工事の金額を比べたいときに、総額どうしを引き算すると合いません。

②金額をまとめている大きな見出し

付帯工事費附帯工事費漢字が違います)/本体付帯工事。 県民共済住宅の 付帯工事 1式 は大きな見出しではなく、1行ぶんの予備費で意味が別でした。

へーベルハウスは大きな見出しの上3つが建物のどこか(躯体・外部・内部)で、工事の種類ではありません。 セキスイハイムは 材料費工事費 の2列で、そもそも分け方の軸が違いました。 3つの区分の考え方は本体工事費と付帯工事費の違いで扱っています。

③工事の名前

印字されている字のまま写してください。言い換えると、あとで探せなくなります。 屋外の給排水は、9件のうち7社でこう分かれていました。

  • 屋外給水設備工事屋外排水設備工事屋外雨水設備工事(3行に分かれる)
  • 屋外給排水工事費屋外給排水設備工事費
  • 屋外給排水工事雨水排水接続工事/+雨水排水工事屋外立水栓工事
  • 外部給排水工事(「屋外」ではありません)
  • 独立した行が無く、(3)外部付帯工事 の中に含まれている

全部の行を写す必要はありません。名前が割れていたのは次の6か所で、まずここだけで足ります。

実物9件で、同じかたまりがどう書かれていたか/表は横にスクロールできます
かたまり実物での書かれ方
建物そのもの建物本体工事建築本体工事費建物本体工事費本体工事建物本体
付帯付帯工事費附帯工事費本体付帯工事付帯工事
オプション標準仕様外工事ご提案オプション提案工事オプション工事設定仕様工事項目/行の頭に OP
仮設仮設工事共通仮設工事費仮囲い工事仮設費用(「工事」ではありません)
設計・申請建築申請・その他業務諸費用設計諸費用設計料・諸手数料建物諸費用必要費用
屋外の給排水上の7社ぶんのとおり

④単位と数量の欄

ここは書き写すのではなく、単位と数量の列があるか無いかと、 ③で写した行の数量が入っているか空かの2つをメモすれば足ります。 数量が空の行は、あとから金額が動く手がかりになります。

単位の列そのものが無い紙がありました。数量・単位・単価まで出ていたのは、9件のうち1件だけです。

⑤金額が確定していない行の表記

「一式」だけではありません。9件と市販ソフトのサンプルで、11通り出ました。

一式1式(予算取)(概算)(概)調査による融資計画による↑上記に含む別紙明細書お施主様支給/数量 0.00

「一式」は手抜きの印ではありません。 国土交通省の公共建築工事共通費積算基準にも「一式として計上する」と決められている項目があります。 見るのは「一式で、かつ内訳への参照が無いこと」です。 違いは「一式」「1式」の違いと「概算」の意味で扱っています。

この行を写すときに、明細が全部で何行あるかも控えておきます。

金額だけでは、他社の紙と並ばない

範囲が違う紙どうしの総額を引き算しても、差の中身は分かりません。①で写した名前が効くのはここです。

未確定の行も同じです。見るのは「一式が何行あるか」ではなく「全体で何行あって、そのうち何行が一式か」。 40行のうち5行と、8行のうち5行では、同じ「5行」でも意味が違います。 何行なら多いという線を当サイトは持っていません。持っているのは、分母を見ないと比べられないということだけです。

条件をそろえて並べる手順は注文住宅の相見積もりを比較する手順にまとめました。 写した内容を残った会社の紙と並べるときは、当サイトの入力欄が使えます。2社分の項目名を入れると、書き方の違いをそろえて並べます。

見積そろえの入力欄を開く(無料・登録不要)

建設業法に、返還の定めは見当たらない

建設業法とその政令・省令の全文を走査しましたが、「返還」「返却」という語は3本とも0件でした。 返せという条文も、返さなくてよいという条文も見つかりません。

ただし「返さなくてよい」という意味ではありません。 当サイトが見たのは建設業法の中だけで、見積書の注記や、署名した書面の取り決めが優先します。 会社が返却を求める理由も、当サイトは確かめていません。

まだ断っていない会社なら、請求できる

建設業法第20条第4項に、こう書かれています(e-Gov 法令検索・原文)。

「建設工事の注文者は、建設工事の請負契約を締結するに際しては、当該建設工事に係る材料費等記載見積書の内容を考慮するよう努めるものとし、建設業者は、建設工事の注文者から請求があつたときは、請負契約が成立するまでに、当該材料費等記載見積書を交付しなければならない。

読むところは2つです。「請求があつたときは」なので、こちらから言う必要があります。 「請負契約が成立するまでに」なので、契約する前の段階が対象です。

ただし、請求すれば必ず出てくるわけではありません。 作成そのものは第1項の努力義務で、条文は「作成するよう努めなければならない」と書いています。 義務になっているのは、作られたものを交付することです。

出てくるのは「材料費等記載見積書」で、返した紙と同じものではありません。 手元の紙がこれに当たるかは、①材料費・労務費などの内訳と、②工程ごとの日数が書かれているかで見分けます。 当サイトが読み取った実物9件に、②の欄はありませんでした。

条文の条件は「請負契約が成立するまでに」だけで、断ったら終わりとは書かれていません。 ただし断った相手にこの義務が働くかを、当サイトは確かめていません。 第1項と第4項の全文と頼み方は見積書がもらえないときにできることにまとめました。

よくある質問

返さないといけないのですか。

当サイトは確かめていません。建設業法とその政令・省令に返還を定めた規定は見当たりませんでしたが、 見積書の注記や、署名した書面に取り決めがあれば、そちらが効きます。

返したあとで、もう一度もらえますか。

当サイトが見た範囲では、同じものが戻ってくる見込みは高くありません。 条文が交付を義務づけているのは工程ごとの日数まで書いた見積書で、読み取った実物9件にその欄はありませんでした。 作成そのものも努力義務です。だから、返す前に写します。

コピーを取ったり、写真に撮ったりしてもいいですか。

可否を当サイトは確かめていません。手で書き写すことについても同じです。 見積書の注記と、署名した書面を先に見てください。

なぜ返却を求められるのですか。

理由を推測で書くことはしません。

写した内容を、他社に見せてもいいですか。

別の話になります。ハウスメーカーの見積書を他社に見せてよいかにまとめました。

まとめ

返す前に写すもの

金額と、5つの欄と、明細が全部で何行あるか

①紙の一番上の名前 ②金額をまとめている大きな見出し ③工事の名前 ④単位と数量の欄 ⑤金額が確定していない行の表記

①②③は、印字されている字のまま写します。

建設業法に返還の定めは見当たりませんでした。ただし返さなくてよいとも書かれていません。 見積書の注記と、署名した書面を先に見てください。

書き写した内容をどう読むかは。 注文住宅の見積書、会社によって書き方が違う理由から順に読めます。

この記事の調べ方

  • 建設業法施行令施行規則の全文を機械で走査しました(2025年12月12日施行の条文を 2026年8月22日に閲覧)。「返還」「返却」は3本とも0件、施行令の「返付」1件は技術検定の合格証明書で無関係でした
  • 走査した語は3語だけではありません。「返納」「還付」「返す」「返」「戻」「引き渡」「引渡」「提出しなければならない」「回収」「廃棄」「破棄」でも走査し、3本に出てくる「見積」の全30箇所を条文で確認しました
  • 5つの欄は、家を建てた方がご自身で公開している実物の見積書9件を読み取ったものです。うち2件は原本の画像がなくブログ本文への転記で、そのうち1件は施主の方の要約の可能性があります。紙の名前は画像から読み取れた6件ぶんです。⑤の表記は市販の積算ソフトのサンプルも見ています
  • ⑤の「予算取」は、当サイトの記録に (予算取)【予算取】 の2通りがあり、括弧の形を原本で確定できていません
  • 確かめていないこと:返還の義務があるかどうか/コピーや書き写しの可否/会社が返却を求める理由/返したあとに再交付を断られた例/断った相手に第20条第4項が働くか
  • 本記事は条文の整理であり、法律の助言ではありません。個別の契約についての判断は、契約書の記載と当事者間の確認によります
  • 広告リンク先(タウンライフ家づくりの、間取りプランを取り寄せるページ)の注記(2026年8月21日に閲覧・原文のまま): 掲載されている会社について「※1 本LPで紹介している「優良○○会社」「信頼できる会社」とは、国家資格の有資格会社のことを指します。」 (「○○」は当サイトが伏せた印ではありません。リンク先がそのままこう書いています)。 掲載社数について「※2026年8月現在 自社調べ」。利用者の事例について「※あくまでも個人の例です。」