見積書の「一式」「1式」の違いと「概算」の意味
【PR】記事内に広告リンクがあります注文住宅の見積書を読んでいると、金額の欄に「一式」「概算」「お施主様支給」といった、数値ではない表記が出てくることがあります。 これらは記載ミスではなく、その時点でまだ金額が確定していないことを示す、見積書でよく使われる表現です。
この記事で分かること
- 「一式」と「1式」に意味の違いは見当たりません
- 「一式」は正規の記法で、手抜きではありません
- 金額が未確定であることを示す表記の一覧
- 内訳は請求できます(作成そのものは努力義務です)
「一式」の行が実際にいくら動くのかを見たいときは。 後から上がる箇所の見分け方
色を付けた2つが、金額がまだ決まっていないことを示す欄です。 当サイトが公開されている見積書9件と、見積を作る業務用ソフトの見積サンプル1件から集めた表記を、1語ずつ確認します。 数字は架空です。この色は、当サイトのツールが金額未確定の行に使う色と同じです。
「一式」は手を抜いた書き方ではない
「一式」とは、細かい内訳をまとめて1行で書く、見積書の書き方です。 数量・単位の欄に「一式」と入り、その1行に複数の作業や部材がまとめられます。
公共工事の書式でも認められている
「一式」という書き方自体は、公共工事の書式でも認められている正式な記法です。
国土交通省の公共建築工事内訳書標準書式には、次の記載があります。
必要に応じて別紙明細書を設け、1式で記載することができる
区分が困難なものについては、材料費又は労務費以外の項目として1式の金額を記載することができる
見るのは「一式」ではなく、別紙があるか
注意したいのは「一式と書かれていること」ではありません。
「一式と書かれていて、かつ内訳を示す別紙の参照が無いこと」のほうです。
別紙の明細書が添付されていれば、内訳は別の場所で確認できます。
「一式」と「1式」に違いはあるか
当サイトが見積書を読み取った範囲では、意味の違いはありませんでした。 どちらも「細かい内訳をまとめて1行にした」ことを示す同じ表記で、 漢数字で書くか算用数字で書くかという表記の違いだけです。
実際、同じ意味の欄に、ある会社は「一式」、別の会社は「1式」と書いていました。 国土交通省の公共建築工事内訳書標準書式は「1式で記載することができる」と算用数字を使っていますが、 これも意味を分けているわけではありません。
会社ごとに使い分けの決まりがある可能性までは確認できていません。 手元の見積書で両方が混在していて気になる場合は、担当の方に確認してください。
どちらで書かれていても、見るところは同じです。 「一式」「1式」そのものが問題なのではなく、その内訳を示す別紙があるかどうかを確認します。
実際の見積書で見かける表記
金額が未確定であることを示す7通りの書き方
家を建てた方がご自身で公開している見積書を確認すると、「一式」以外にも複数の書き方がありました。
- 一式/1式(数量・単位の欄に入るもの。上記のとおり意味は同じ)
- (予算取)/(概算)/(概)(金額欄や項目名に付く注記)
- 調査による/融資計画による(金額が後日決まることを示す注記)
- ↑上記に含む(金額欄に数値の代わりに入り、上の行の金額にまとめられているもの)
- お施主様支給(金額欄が数値ではなく、施主が別途手配する扱いになっているもの)
- 別紙明細書(金額欄に数値の代わりにこの表記が入り、内訳が別の書類にあるもの)
- 数量が0.00のまま、単価だけ提示されている行(数量が未定であることを示す)
このうち「お施主様支給」は、総額の比較にも影響します。 この項目にした分は会社の見積もりの合計から外れるため、片方の会社だけ施主支給にすると総額が安く見えます。 詳しくは施主支給で総額比較が崩れる理由にまとめました。
「一式が少ない=全部確定している」ではない
ある会社の見積書には「一式」がほとんど出てこず、別の会社には多く出てくる、ということがあります。
前者は「一式」以外の書き方(「概算」等)で同じ状態を示している可能性があります。
「一式の数が少ない=金額がすべて確定している」とは限りません。
「一式」が何行あれば多いのか
「この表記が付いた行が、うちの見積にはやけに多い気がする」というのが、この記事に来た理由かもしれません。 そこで、当サイトが読み取った資料のうち4件について、明細の行数を実際に数えました。
| 資料 | 明細行 | 一式の行 | 割合 | 書類の粒度 |
|---|---|---|---|---|
| A | 42行 | 10行 | 24% | 費目ごとに工事名と金額 |
| B | 15行 | 14行 | 93% | 工事のまとまりごと |
| C | 5行 | 5行 | 100% | 大分類のみ。ただし括弧書きで内訳10行が同じ紙にある |
| D | 62行 | 20行 | 32% | 数量・単位・単価まで出ている |
数えて分かったのは、「一式が何行あるか」では多い少ないを判断できない、ということでした。
- 24%から100%まで開きました。これは会社の姿勢の差ではなく、書類の粒度の差です
- Cは5行しかなく、5行とも一式です。「一式100%」ですが、括弧書きで内訳が同じ紙に載っています。一式が多いことと、内訳が無いことは別です
- Dは62行あり、数量・単位・単価まで出ています。そのうち20行が1式でした
つまり、同じ「一式が20行」でも、全体が62行なら普通の粒度、全体が25行なら大分類の一覧に近い、ということです。 見るのは一式の行数ではなく、分母(全体で何行あるか)と、その一式に内訳が付いているかです。
手元の見積書で確かめるなら、次の2つです。
- 全部で何行あって、そのうち何行が「一式」かを数える。割合が高いほど、内訳書というより大分類の一覧に近いということです
- その一式の行に、内訳を示す別紙や、括弧書きの内訳が付いているかを見る。付いていなければ、そこが「内訳の分かる見積書をください」と伝える行です
この数字の限界を書いておきます。 数えたのは当サイトが読み取った10件のうち4件だけです。4件で24%から100%まで開いたので、 残りを数えても「行数では判断できない」という結論は変わらないと考えて、そこで止めました。 1件は明細行そのものが公開されておらず、分類ごとの合計しか載っていないため数えられません。 公開されている見積書の多くは画像で、拡大しても潰れて読めない行があります。 数えたのは当サイトが読み取れた範囲です。 資料はA〜Jとしています。会社ごとの評価をするための数字ではないためです。一覧はこのサイトについてにあります。
そして、この数字は「あなたの見積の金額が高いかどうか」には答えていません。 金額そのものは、その行について「何が決まると確定しますか」と聞いて埋めていくことになります。
内訳を確認したいときにできること
請求すれば、内訳の交付を求められる
建設業法第20条第4項は、建設業者は、注文者から請求があったときは、請負契約が成立するまでに交付しなければならないと定めています。
交付の対象は、第1項が定める材料費などの内訳と、工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を書いた見積書(条文の呼び名は「材料費等記載見積書」)です。作成そのものは第1項の努力義務なので、請求すれば必ず内訳付きが出てくるという意味ではありません。詳しくは見積書がもらえないときにできることにあります。
注文者とは、あなた、つまり工事を発注する側のことです。
金額が未確定の行が多いと感じたときは、「内訳の分かる見積書をください」と伝えられます。
複数社の見積を並べて確認する
1社分だけでも使える
当サイトの見積そろえは、項目名と金額を入力するとこれらの表記が付いた行を自動で見つけて示します。
片方にしか無い費用を赤で示す機能は、2社以上を入れたときに働きます。
よくある質問
「一式」と「1式」は違うものですか。
当サイトが公開されている見積書を読み取った範囲では、意味の違いはありませんでした。どちらも細かい内訳をまとめて1行にしたことを示す表記で、漢数字で書くか算用数字で書くかという表記の違いです。同じ意味の欄に、ある会社は「一式」、別の会社は「1式」と書いていました。国土交通省の公共建築工事内訳書標準書式も算用数字の「1式」を使っていますが、意味を分けているわけではありません。会社ごとに使い分けの決まりがある可能性までは確認できていないため、手元の見積書で両方が混在していて気になる場合は担当の方に確認してください。
見積書に「一式」が多いのは、いい加減な会社ということですか。
そうとは限りません。国土交通省の公共建築工事内訳書標準書式にも、材料費または労務費以外の項目として1式の金額を記載できる旨の定めがあり、公共工事の書式でも認められた書き方です。確認したいのは「一式」の数ではなく、その内訳を示す別紙があるかどうかです。
「内訳の分かる見積書をください」と、どう言えばいいですか。
そのまま次のように伝えられます。「比べたいので、内訳の分かる見積書をいただけますか。金額を値切りたいということではなく、どこまで含まれているかを知っておきたくて」。建設業法第20条第4項は、建設業者は注文者から請求があったときは請負契約が成立するまでに交付しなければならないと定めています。交付の対象は、第1項が定める材料費などの内訳と工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を書いた見積書です。ここでいう注文者は工事を発注する側なので、家を建てる個人も含まれます。作成そのものは第1項の努力義務なので、請求すれば必ず内訳付きが出てくるという意味ではありません。
「一式」と書かれた行は、後からいくら上がりますか。
金額は書いていません。工事ごとの相場を一次情報で確認できていないためです。当サイトが確認できているのは、金額がまだ決まっていないことを示す表記が実際に使われている、という点までです。金額の見当をつけるには、その行について「何が決まると確定しますか」と聞くのが先になります。
「一式」の行を全部聞き直すのは、気が引けます。
全部でなくて構いません。金額の大きい行から順に、数行だけでも意味があります。内訳を求めることは建設業法が想定している手続きで、値引きの交渉とは別のものです。
まとめ|「一式」は手抜きではない。見るのは別紙のほう
「一式」は公共工事の書式でも認められた正式な記法です。
「一式」と「1式」に、当サイトが読み取った範囲では意味の違いはありませんでした。
問題になるのは「一式と書かれていて、かつ内訳を示す別紙が無いこと」のほうです。
金額が未確定であることを示す書き方は「一式」以外にも複数あります(概算・調査による・お施主様支給・数量0.00 など)。
「一式が少ない=全部確定している」ではありません。
多いと感じたら、金額の大きい行から数行だけ「内訳の分かる見積書をください」と伝えられます。 建設業法第20条第4項が想定している手続きで、値引きの交渉とは別のものです。
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