注文住宅の工事請負契約書に書かれること|建設業法が挙げる16項目

(公開)| 見積そろえ(運営:morati

【PR】記事内に広告リンクがあります 契約書に書かれることは条文が挙げている

契約書の案を渡されたけれど、どこを見れば足りるのかが分からない。 調べても「工期を確認しましょう」のような一般論が出てきて、確かめ終わったと言える線が引けない、という場面があります。

建設業法が、書面に記載する事項を16号まで挙げています。第19条第1項です。全文を下に引きました。

そのうち4つは「〜するときは」で始まります。その定めが無ければ書かれません。無いことが直ちにおかしいわけではありません。

だから、確かめる線は「11項目があるか」と「条件付きの4つが自分の契約に要るか」です。

この記事で分かること

  • 条文が挙げる16の記載事項の全文
  • 必ず書かれる11項目と、定めをするときだけの4項目
  • 見積もり段階で示される15項目との関係

条文が挙げている16の事項

建設業法第19条第1項の柱書は、こうです(e-Gov 法令検索・原文)。

「建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。」

「努めなければならない」ではなく「しなければならない」です。 見積書の作成(第20条第1項)が努力義務なのとは、条文の書き方が違います。

必ず書かれる11項目

号の本文をそのまま引きます。

  1. 一 工事内容
  2. 二 請負代金の額
  3. 三 工事着手の時期及び工事完成の時期
  4. 六 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
  5. 七 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
  6. 八 価格等(物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第二条に規定する価格等をいう。)の変動又は変更に基づく工事内容の変更又は請負代金の額の変更及びその額の算定方法に関する定め
  7. 九 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
  8. 十一 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
  9. 十二 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
  10. 十四 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
  11. 十五 契約に関する紛争の解決方法

六・七・八・九は「〜に関する定め」なので、定めそのものが書かれます。 設計変更が起きるかどうかに関係なく、起きたときにどうするかを先に決めておく、という形です。

定めをするときだけ書かれる4項目

  1. 四 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容
  2. 五 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
  3. 十 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
  4. 十三 工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
読むときの向き

この4つは、無いこと自体は条文に反しません。

「その定めをするかどうか」が先にあって、するなら書く、という順です。

第十号は、施主が自分で買って持ち込む分(施主支給と呼ばれます)の扱いです。 先に伝えないと会社の見積もりにも同じものが入り、二重になります。 伝えるタイミングは見積もりを頼むタイミングに書きました。

第16号は、受ける省令が見当たらない

第十六号の本文は、これだけです。

「十六 その他国土交通省令で定める事項」

建設業法施行規則の全文(1,578万字)を機械で走査したところ、「第十九条第一項第十六号」の語は0件でした。 この号を受ける事項は、施行規則の中には見当たりません。

ただし「どの省令にも無い」とは言えません。 当サイトが走査したのは建設業法施行規則だけで、ほかの省令までは確認していません。 数えられるのは「条文に列挙されている15項目と、中身の見当たらない1号」です。

「相互に交付」なので、施主の側にも1通残ります

柱書の主語は「建設工事の請負契約の当事者」です。会社だけではありません。 そして「相互に交付しなければならない」と書かれています。

見積書のほうは主語が違います。第20条第1項は「建設業者は……作成するよう努めなければならない」で、 交付が義務になるのは注文者から請求があったときです(同条第4項)。 契約書は双方が交わすもの、見積書は請求して受け取るもの、という差があります。

変更するときも、書面が要ります

「請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に掲げる事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。」(第19条第2項)

16の事項に当たるものを変えるときは、そのつど書面です。 工事内容(第一号)も請負代金の額(第二号)も、この16に入っています。

実物の見積書には、11/14追加変更工事のように日付の入った追加の行が印字されていたものがありました。 契約したあとに金額が動く場所の見分け方は後から上がる箇所の見分け方にまとめています。

電子でもよいが、2つの条件が付いています

第19条第3項は、書面の交付に代えて「当該契約の相手方の承諾を得て」電子的な方法を使えると定めています。 その方法の技術的基準は、施行規則第13条の4第2項が挙げています(原文)。

「一 当該契約の相手方がファイルへの記録を出力することによる書面を作成することができるものであること。」

「二 ファイルに記録された契約事項等について、改変が行われていないかどうかを確認することができる措置を講じていること。」

印刷して書面にできることと、あとから書き換えられていないかを確かめられることの2つです。 承諾を求められたときに、この2つを満たす方法かどうかは聞けます。

見積もりを頼む段階では15項目です

同じ16の事項が、見積もりを頼む段階にも出てきます。ただし数が1つ減ります。 第20条第3項が、こう定めているためです(原文)。

「建設工事の注文者は、請負契約の方法が随意契約による場合にあつては契約を締結するまでに……第十九条第一項各号(第二号を除く。)に掲げる事項について、できる限り具体的な内容を提示し……なければならない。」

除かれる第二号は「請負代金の額」です。金額は、これから見積もってもらうものなので提示の対象から外れています。 だから、契約書の段階は16、見積もりを頼む段階は15になります。

そしてこの第3項の主語は「建設工事の注文者」で、施主の側の義務です。 何を伝えればよいかは見積もりを頼むタイミングに書きました。

契約する相手を決める前に複数社の紙を並べるときは、当サイトの入力欄が使えます。 2社分の項目名を入れると、書き方の違いをそろえて並べます。入力はブラウザの中だけで処理します。

見積そろえの入力欄を開く(無料・登録不要)

よくある質問

16項目のうち、書かれていないものがありました。

4つは「〜するときは」で始まる条件付きです。四号・五号・十号・十三号で、その定めが無ければ書かれません。 それ以外が抜けている場合に何が起きるかは、当サイトは確かめていません。条文が挙げていることまでが、ここで言えることです。

個人が家を建てるときにも、この条文は当てはまりますか。

当サイトは確かめていません。条文は「建設工事の請負契約の当事者」と書いていて、個人か法人かを分けていません。 ただし、この条文が個人の施主との契約にどう及ぶかを示した資料は確認できませんでした。

契約書の案を先に見せてもらえますか。

当サイトは、頼んだときの反応を確かめていません。 条文の側で分かるのは、契約の締結に際して書面を相互に交付することと、見積もりを頼む段階で注文者が16のうち15を提示すると定められていることです。

約款は、この16項目に入りますか。

当サイトは確かめていません。条文は「次に掲げる事項を書面に記載し」と書いているだけで、 書面が何通に分かれるかも、約款という語も、第19条には出てきません。

まとめ

確かめる線

必ず書かれる11項目があるか。条件付きの4項目が自分の契約に要るか。

変更するときも書面。電子にするなら、印刷できて、改変を確認できること。

条文は「しなければならない」で書かれています。 見積書の作成が努力義務なのとは、書き方が違います。

この記事の調べ方

  • 条文は 建設業法建設業法施行規則の原本を機械で取得して読みました(2026年8月25日に取得。建設業法は40万字、施行規則は1,578万字)
  • 16の記載事項は、号の本文をそのまま写しています。要約していません。括弧書きも落としていません
  • 「必ず書かれる11/定めをするときだけの4」の分け方は、当サイトの読み取りです。条文が「11」「4」と書いているわけではありません。号の文が「〜するときは」で始まるかどうかで分けました
  • 第16号については、施行規則の全文で「第十九条第一項第十六号」を走査して0件でした。走査したのは建設業法施行規則だけで、ほかの省令は確認していません
  • 当サイトは工事請負契約書の実物を持っていません。読み取っているのは見積書9件で、契約書ではありません。この記事は条文だけを柱にしています
  • 確かめていないこと:この条文が個人の施主との契約にどう及ぶか/記載が欠けた場合に何が起きるか/約款がこの16項目にどう位置づくか/契約書の案を先に見せてもらえるか
  • 本記事は条文の整理であり、法律の助言ではありません。個別の契約についての判断は、契約書の記載と当事者間の確認によります